ECサイトのCX向上を応援するメディア│MIRA-EC » 各業界におけるECサイトの傾向 » カー用品(自動車)業界のECサイト事情・業界動向

カー用品(自動車)業界のECサイト事情・業界動向

現在、さまざまな分野でEC市場の規模が拡大している状況となっています。そこでこちらの記事では、カー用品(自動車)業界におけるEC市場の状況や課題などについて紹介。さらに、今後の予測についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

カー用品(自動車)のEC市場と動向

カー用品(自動車)の分野におけるEC市場について見る前に、国内のEC市場全体の動向をご紹介します。

経済産業省の発表によると、2022年における日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は「約22.7兆円」となっています。これまでの値を見ると、2021年は約20.7兆円、2020年は約19.3兆円という状況であることから、国内のEC市場全体は拡大傾向であるといえるでしょう。

こちらの記事で取り上げている「カー用品(自動車)」分野は、「物販系分野」に該当することになります(ただし、「自動車・自動二輪車・パーツ等」という分類になっています)。2022年における物販系分野全体のBtoC-EC市場は「13兆9,997億円」であり、2021年と比較すると5.37%増加しています。そのうち、「自動車、自動二輪車、パーツ等」の市場規模は「3,183億円」。前年は「3,016億円」となっており、5.55%の増加となっています。

物販系分野の BtoC-EC 市場規模及び EC 化率の経年推移
図表:物販系分野の BtoC-EC 市場規模及び EC 化率の経年推移(単位:億円)

参照元:経済産業省|令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書
(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf)

カー用品(自動車)のEC化率

また、経済産業省から発表されているデータの中で注目しておきたい項目として「EC化率」があります。このEC化率とは、全ての商取引におけるEC(電子商取引)が占める割合を表す数値です。この数値を見ることにより、業界のEC事業の動向を把握するのに役立ちます。

カー用品(自動車)分野における2022年のEC化率は「3.98%」。2021年の数値を見ると「3.86%」となっておりわずかに増加している状況です。

ただ、例えば同じ物販系分野の「書籍、映像・音楽ソフト」の分野におけるEC化率は50%超。このことから、カー用品(自動車)分野におけるEC化率は低く、業界におけるEC化が進んでいないという状況がわかります。

カー用品(自動車)の業界が抱える課題

カー用品の取り付けには専門知識が必要

カー用品専門店に足を運ぶと感じるのが、その商品の多さです。例えばワイパーひとつとっても、自分の車にはどれが合うのかを即時に判断するのは非常に難しいといえるでしょう。普段車のパーツに触れる機会が多い人であればある程度は判断がつくかもしれませんが、初めてパーツを購入する人にとっては、店舗にいるスタッフに尋ねなければどの商品を買うべきか判断することはできないでしょう。

さらに、自分の車に合うパーツが判明し、該当する商品を購入したとしても、自分で取り付けるためには知識や技術が必要となります。例えばドライブレコーダーを車に取り付ける場合には、バッテリーに配線を繋ぐといった作業が必要なものもあり、整備知識がない人にとっては非常にハードルが高いといわざるを得ません。

また、取り付けるパーツによっては整備知識のほかに道具が必要となる場合もあります。このような点から、車の整備について知識がない人にとってはECサイトで商品を購入して自分で取り付けるのは不安も大きく難しいといえます。

専門店舗の利便性が非常に高い

カー用品分野における特徴として、専門店舗が各地にあり、車の利用者にとって非常に利便性が高い点が挙げられます。そのため、タイヤやホイール、ワイパーやバッテリーといったように、車のパーツなどが必要になった場合にはカー用品専門店に足を運ぶ流れになることから、ECで商品を購入しようと考える人が限られてくるといえるでしょう。

そして、カー用品を購入したい人は主に車の所有者です。例えば徒歩圏内にカー用品店がない場合でも、車を使えばそれほど時間をかけずにアクセスが可能。このように、車を所有している人にとっては特に不便を感じないことから、EC化率が低いと予想されます。

高額商品は実際に見てから購入を検討したい

自動車のパーツの中には高額のものもあります。そのような高額商品の場合には、「実際に自分の目で見てから購入するかどうかを判断したい」と考える人も多いでしょう。店舗に行く前にインターネットで検索することは考えられますが、実際に店舗に足を運び、商品を見て、場合によってはスタッフに相談した上で購入するかどうか決める流れが多いと考えられます。この点も、EC化率の低さに影響しているといえるでしょう。

カー用品(自動車)の今後

EC化率は増加傾向にある

上記の通り、「自動車、自動二輪車、パーツ等」の分野におけるEC市場規模は他の商品カテゴリと比較すると低い状況であるといえます。しかし、わずかではありますが前年と比較するとECサイト化率は増加しています。

この背景としては、「コロナ禍によって店舗に足を運ぶことが難しくなり、ECの需要が高まった」点や、「テレワークで仕事をすることになったために趣味に費やせる時間が増え、自動車のパーツ等の需要が増加した」といったことが考えられるでしょう。そのほか、世界的に半導体が不足して新車を購入することが難しくなったため、現在所有している車のカスタム需要が増加したことでECの利用も増加した、という可能性も考えられるでしょう。

ECサイトと実店舗の連携が必要

また従来のECサイトの場合は、ユーザーが注文からパーツの取り付けまで全て自分で行う必要がありましたが、ECサイトで注文した商品を店舗で受け取ることができ、さらに取り付けまでしてもらえるといった仕組みを取り入れるという動きもあります。

この仕組みでは、ユーザーが店舗に注文を行い、在庫確定後に指定した店舗に車で訪問して取り付けを依頼する流れになります。こちらの方法の場合、パーツを車に取り付けるまでに時間が必要となりますが、その間に店舗の中を見て回る人もおり、他の商品の購入につながるケースも考えられます。

このように、カー用品(自動車)分野におけるECサイトの利用の増加につなげるには、リアル店舗との連携がポイントになってくると考えられるでしょう。

オンラインと実店舗の連携がポイントのひとつ

本記事では、カー用品(自動車)分野におけるECサイトについて、現在までの動向や課題、今後の展望について見てきました。カー用品の分野は、商品選びが難しい・取り付けが自分では難しいという理由から、実店舗を利用する人の割合が多いという現状があるため、急激にEC化を進めるのは難しい分野であるといえるでしょう。

しかし、オンラインとオフラインの連携によってECサイトの活用ができる可能性があると考えられます。このような形でユーザーがECサイトに触れる機会を増やしていくことが、こちらの分野でのEC化率を上げるための対策のひとつであるといえるのではないでしょうか。また、競合他社が有効な活用方法を見つけられていないからこそ、伸びしろのある市場とも捉えることができます。

監修
コマースとCXの
リーディングカンパニー

sponsored byZETA株式会社

ZETA株式会社はEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」をはじめとして、EC利用者の体験を包括したマーケティングの実践をサポートする『ZETA CXシリーズ』の開発・提供に取り組んでいる企業です。アパレル、家具・家電・日用品、BtoB問わず、国内大手ECに多数の導入実績を誇っています。