家具インテリア業界のECサイト事情・業界動向
家具・インテリア業界でもEC市場の規模が拡大しているといわれています。こちらの記事では、家具・インテリアのEC市場の動向について解説します。さらに業界の課題と今後の予測についてもまとめています。
家具・インテリアのEC市場と動向
図表:BtoC-EC市場規模の経年推移(単位:億円)
生活雑貨・家具・インテリア販売のEC市場規模
2023年8月に経済産業省から発表されている「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」を参照すると、2022年におけるBtoC-EC市場(日本国内)の規模は「22兆7449億円(前年比9.9%増)」となっています。
家具やインテリア、生活雑貨はこのうち「物販系分野」に属していますが、こちらの分野におけるBtoC-EC市場は「13兆9,997億円(前年対比5.37%増)」であり、そのうち家具やインテリア、生活雑貨のEC市場規模は「2兆3,541億円」(前年比3.47%増)」とのデータが示されています。
以上から、2021年から2022年にかけて、家具、インテリア販売におけるEC市場規模が拡大している状況であるといえるでしょう。
参照元:経済産業省|令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書
(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf)
家具やインテリア、生活雑貨におけるEC化率
EC市場のトレンドを見ていく中で注目したいのが、「EC化率」という指標です。これは、すべての商取引のうちEC市場がどれくらいの割合を占めているかを示します。
経済産業省の調査によると、2022年における生活雑貨・家具・インテリア販売におけるEC化率は「29.59%」となっています。Bto-Cの物販系分野全体のEC化率は「8.78%」となっていることからも、生活雑貨や家具、インテリア販売においてはECによる販売の割合が多いといえるでしょう。ちなみに、他にEC化率が高い分野としては、「書籍、映像・音楽ソフト」「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」が挙げられます。
参照元:経済産業省|電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました
(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002.html)
EC市場の規模が拡大した理由とは
家具・インテリア分野のEC化率が高い水準となっていることは上記でご紹介している通りです。ではなぜこの分野でEC市場が拡大したのかを見ていきましょう。
配送需要が高い商品が多くECサイトと相性が良い
大型の家具を購入する際には、店頭で買っても販売在庫は倉庫に保管されており、後日の配送対応となるため、本来は店舗のメリットとなる「商品をすぐに手に入れられる」「配送料が不要」というメリットがありません。以上から、家具やインテリア業界はECサイトと元々相性が良いといえるため、ECサイトの利用が進んだと考えられます。
ECサイトは価格の確認がしやすい
商品を購入しようとする場合、できるだけ安いものを購入したいと考える方も多いはずです。そのような場合には、ECサイトの方が価格的にメリットのある商品を探しやすいという面があります。
また、自宅などで商品を検討していれば、部屋のスペースに購入を検討している家具が設置できるかどうかを確認しやすいというメリットもあります。
コロナ禍によるライフスタイルの変化
生活雑貨・家具・インテリア分野におけるECの市場規模が特に拡大したのは、2019年から2020年の期間となっています。この期間の大きな成長は、新型コロナウイルス感染症の流行が関係していると考えられています。
この時期には、テレワークや在宅勤務を導入した企業が増加したこと、さらに外出を控える流れとなっていました。そのような状況で、テレワークに必要なデスクやチェアをはじめとする自宅の設備を充実させようという動きがあったこと、さらに外出がなかなかしにくかった状況だったことから、ECサイトを利用して家具を購入した方も多かったのではないでしょうか。
ARなどの技術革新
ECサイトを利用して家具やインテリアを購入する人が増加する一方で、実物を見ずに商品を購入することに抵抗があり、「大型の家具は実物を見てから決めたい」と考えてる方も一定数います。
このような消費者がECサイトを利用できるような施作が必要になってくると考えられますが、近年ではさまざまな技術が取り入れられています。
例えばAR(拡張現実)により、スマートフォンにより自宅に家具を設置したイメージを簡単に作ることができるようになっています。このような技術の活用によって、ECサイトを利用して商品を購入する際の抵抗感を薄める取り組みを行う企業が増加してきたことも、EC市場の規模が大きくなっている理由のひとつと考えられます。
家具・インテリアの業界が抱える課題
現在、家具・インテリア業界におけるEC化が進められている状況ではありますが、さまざまな課題があると考えられています。
少子高齢化によって予想される需要減少
まず1つ目の課題として挙げられているのが「少子高齢化」です。家具・インテリアが購入されるのは住まいを購入するときや新生活を始める場合などが主な機会となっており、それほど頻繁に買い替えるものではありません。
新生活を始めるタイミングは、圧倒的に若い世代が中心となっており、逆に年配の方になると家具を購入するという機会は減少していくことが一般的です。
さらに、ECサイトを利用するのは若年層が中心。そのため、少子高齢化が進んでいる日本国内の市場においてはいずれ頭打ちがくることが予想されます。このような背景から、家具・インテリアのEC業界においては国内の少子高齢化問題を含め、将来を見据えた対策が求められるといえます。
需要に対して供給が多い状況になれば、必然的に競争力は高まるため、その中でも選ばれるための仕掛けが必要になってきます。
在庫・品質管理の問題
EC市場の拡大により消費者にとっては非常に便利な状況になっていますが、販売側の課題として、大型の家具をはじめとした在庫管理におけるスペース確保の問題や、長期的に保管する場合の品質管理などの課題が挙げられます。
さらに、小型の家具や製品においては、その種類の多さから在庫管理や発送において作業が複雑になりやすいという面もあります。今後EC市場が拡大していくことを考えると、発送代行サービスなどの利用を検討し、課題の解決を図る必要が出てくる可能性もあるでしょう。
コストの上昇への対策
家具・インテリア業界に限ったことではありませんが、コストの上昇も大きな問題として挙げられています。特に家具・インテリアのEC業界は、例えば配送時に高額な物流費・梱包費が必要となる商品を取り扱っているために、配送費の負担が大きくなっている状況です。
さらに、物流や梱包費の上昇に加え、材料費の高騰により仕入れ原価も上昇している状況となっていますので、既存のコストを削減するという課題の解決に取り組む必要があるといえます。
家具・インテリアの今後
家具・インテリア業界におけるEC市場では、「購入を後押しする施策」が重要になってくると考えられます。ECサイトを利用する人が増えてきたとはいえ、やはり家具やインテリアのような大きいものを購入する場合には「一度自分の目で見てから」と考える人もいるでしょう。
このような人にもECサイトを利用してもらうためには、不安なく購入ができるような後押しが求められるでしょう。例えば、バーチャルショールームを設けることにより、実店舗に足を運んだ時のように商品を確認してそのままインターネット上で購入ができたり、スマートフォンを使用して家具のサイズや色合いの確認、部屋への配置のシミュレーションを行えるようにするといった、新たな顧客体験(CX)を提供することがより大きな鍵になってくると考えられます。
また、自分の求めていた商品が出てくるとか、直感的に目的としている商品にたどり着くことができる使いやすさや、このサイトをもう一度利用したいと思ってもらえるようなファンを作る動きも重要になってきます。
ECサイトにおける顧客体験(CX)が重要
本記事でご紹介してきたように、少子高齢化やコストの高騰、在庫管理や品質管理の面など、家具・インテリア業界におけるECサイトについても、さまざまな課題が挙げられています。
以上から、ECサイトにおいても工夫なく商品を並べているだけでは売り上げを向上させていくことは難しい状況になっていくと考えられるでしょう。そこで重要になってくるのがECサイトにおける顧客体験(CX)です。
ECサイトを通じて家具やインテリアを購入する場合でも、実店舗のようなコミュニケーションを通じ、お客さまが商品について十分に理解をし、納得できた上で購入する、という流れを作ることが求められているといえます。
本メディアでは、ZETA株式会社監修のもとで、ECサイトのCX向上を目指す中で知っておきたい施策について紹介しています。これからEC事業を伸ばしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 監修
- コマースとCXの
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ZETA株式会社はEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」をはじめとして、EC利用者の体験を包括したマーケティングの実践をサポートする『ZETA CXシリーズ』の開発・提供に取り組んでいる企業です。アパレル、家具・家電・日用品、BtoB問わず、国内大手ECに多数の導入実績を誇っています。