理美容サロン業界のECサイト事情・業界動向
現在さまざまな業界でECサイトが用いられていますが、理美容サロン業界においてもインターネット経由での予約が多く活用されています。こちらの記事では理美容サロン業界のEC市場と動向や現在業界が抱えている課題、今後の展望などについてまとめました。
理美容サロン業界のEC市場と動向
経済産業省が2024年9月に公表した「令和5年度 電子商取引に関する市場調査報告書」によると、2023年における日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は、24.8兆円(前年22.7兆円、前々年20.7兆円、前年比9.23%増)に拡大している状況となっています。さらに、2023年における日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)の市場規模は、465.2兆円(前年420.2兆円、前々年372.7兆円、前年比10.7%増)に増加している状況です。
さらにEC化率は、BtoC-ECにおいては9.38%(前年比0.25ポイント増加)、BtoB-ECにおいては40.0%(前年比2.5ポイント増加)と増加傾向にあることから、商取引の電子化が引き続き進められている状況になっているといえます。
サービス系分野におけるBtoC-EC市場規模
分野別にBtoC-EC市場規模を見ると、理美容サービスが含まれている「サービス系分野」は、2022年は6兆1,477億円だったのに対し、2023年は7兆5,169億円となっており、22.27%の増加です。
サービス系分野における2023年のBtoC-EC市場規模の内訳を確認すると、最も大きな割合を占めるのが「旅行サービス(3兆1,953億円、前年比35.87%増加)」です。「理美容サービス」はサービス系分野の中では4番目に大きな市場規模となっており、6,854億円(前年比11.65%増加)となっています。
理美容サービスのBtoC-ECの市場規模は拡大傾向
続いて、「理美容サービス」のカテゴリに絞って動向を見ていきます。こちらのカテゴリには、「ヘアサロン」「ネイルサロン」「エステサロン」「リラクゼーション」「アイビューティ」のサービスのインターネット予約が含まれています。
理美容サービスにおけるBtoC-ECの市場規模の推移を見ると、2021年の市場規模は5,959億円(前年比:4.33%減少)となっていましたが、2022年の市場規模は6,139億円(前年比:3.01%増加)となっています。2021年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって前年よりも落ち込んでいますが、2022年になりわずかではあるものの増加に転じている状態に。さらに2023年のBtoC-ECの市場規模は6,854億円であり、前年比で11.65%増加となっています。
ちなみに、この市場規模の推計を開始した2015年においては、理美容サービスの市場規模は2,420億円でした。その後、2016年は3,261億円、2017年は4,188億円、2018年は4,928億円、2019年は6,212億円といったように、毎年高い成長率となっていましたが、上記の通り2021年は5,959億円であり前年比で減少する結果に。その後2022年には前年比において増加に転じており、2023年においては2020年を上回る結果となっており、推計開始以来最も大きな市場規模となっています。
参照元:経済産業省|令和5年度 電子商取引に関する市場調査報告書
(https://www.meti.go.jp/press/2024/09/20240925001/20240925001-1.pdf)
理美容サロン業界が抱える課題
理美容サロン業界では、現在以下のような課題を抱えていると考えられています。
施術料金の引き上げ
2023年度には、多くの理美容サロンにおいて施術料金の引き上げが行われています。これは、サロンにて使用されている薬剤や消耗品の仕入れ価格の値上げ、光熱費の上昇などの理由によるものです。
ただし、それぞれのサロンの対応には相違があり、顧客ターゲティングにより料金アップ率の調整を行うケースや、特定の施術メニューの価格を据え置くなど、慎重な対応を取る傾向が見られます。
競争の激化
美容室のみを見ても、日本には非常に多くの店舗があります。人口に対する理美容サロンの割合が高い状態となっており、この傾向は都市部では特に店舗間の競争が激化している状況となっています。
また、低価格サロンチェーンなども増加している状況であり「時間をかけずに安価にカットしたい」というニーズに応えるビジネスモデルも消費者に支持されている状況に。中価格帯の美容室は価格競争に巻き込まれるケースも多く、生き残りのため、付加価値を提供するなど何らかの対策が必要となっている店舗もあると考えられます。
技術革新とデジタル化
デジタル技術の進歩に伴い、理美容サロンにおける運営にも変化が見られています。その例としては、予約管理システムやオンライン予約システムなどの普及が挙げられ、これらのシステムを導入することによって、効率的な集客や顧客管理を行えるようになっています。
顧客側からも、気軽に施術の予約ができるオンライン予約システムが指示されています。オンライン予約システムを利用した場合、クーポンを確認しやすい、プランの選択が簡単に行えるなどのメリットもあり、来店率や顧客満足度の向上が見込めるといえます。
また、現在も電話予約のみとしている理美容サロンもありますが、スタッフが少ない場合には電話に出られず機会損失につながる可能性も考えられるため、オンライン予約システムの導入には大きなメリットがあると考えられます。
理美容サロン業界の今後
これまでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって慎重な行動を求められていたものの、現在は以前と変わらない日常を取り戻した状態になったといえます。理美容サロンの運営を行う中でも、長時間の接触を避ける必要性も少なくなったことから、長時間の施術が必要となるオプションメニューの訴求力が高まっている状況。この点から、理美容サロンにおいては成長を目指した付加価値の提供を意識した対策を行っていくことが必要であるといえます。
また上記でも言及しているように、多くの理美容サロンにてオンライン予約システムが活用されている状況となっています。予約システムの導入によって顧客の利便性を高め、結果的に来店率や顧客満足度の向上につながるといえることからも、現在導入していない店舗においてもオンライン予約システムを検討する価値はあると考えられます。
本記事では、理美容サロンにおけるBtoC-EC市場についての現状や課題、今後の展望などについて解説を行ってきました。店舗数が多い分競争が激しい理美容サロンにおいては、どのようなサービスを提供し顧客満足度を高めていくかが非常に重要であるといえます。
オンライン予約システムの導入は、顧客満足度を高める方法の一つではあります。しかし、そこにサロンでの個別の対応を通じ、ひとりひとりに合ったサービスの提供がポイントとなってきます。顧客の声を丁寧に聞き、要望に耳を傾けることによってさらに満足度の高いサービスの提供が可能となり、再来店を促すことが可能です。
このように、オンラインとオフラインを組み合わせた戦略への取り組みによって他のサロンとの差別化を行うことができ、集客力の向上につなげられます。

- 監修
- コマースとCXの
リーディングカンパニー
sponsored byZETA株式会社

ZETA株式会社はEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」をはじめとして、EC利用者の体験を包括したマーケティングの実践をサポートする『ZETA CXシリーズ』の開発・提供に取り組んでいる企業です。アパレル、家具・家電・日用品、BtoB問わず、国内大手ECに多数の導入実績を誇っています。